長崎県長崎市 「まちぶらプロジェクト」について長崎市が推進する「まちぶらプロジェクト」は長崎市中心市街地活性化基本計画に位置づけされ、現在進行中の、陸の玄関口の「長崎駅周辺」と、海の玄関口である「松が枝周辺の整備事」と市の中心部である「まちなか」を連携させながら50年100年先のまちの形の基盤をつくるために目的とした壮大な事業です。
計画期間は平成25年度から34年度までの10年間。長崎市は海と山に囲まれた坂の多いまちです。まちなかを歩きながら市の職員さんに話を聞くと、地形的な要因もあり地方都市によく見受けられる郊外の大型ショッピングセンター出店による買い物客の大半が郊外に流出することはないそうです。買い物や飲食は平らな地形の中心に集中しています。エリアは北から「新大工町」「中島川・寺町・丸山」「浜町・銅座」「館内・新地」「東山手・南山手」となり、それぞれのエリアで普段着のまち、粋なまち、長崎文化、中国文化、異国情緒など特徴を生かしたまちづくりを行うものです。まちの形を変えるときに、どこのまちでも課題になるのが地権者の同意です。
長崎市は経済的合理性「収益の魅力」によりそれを解決していきました。また時局に乗り遅れないようにしたいと思う地権者の動向を把握していました。福岡市の天神とあまり変わらない賃料を得られることは、狭隘地の市街地ということを勘案しても驚くべき数字です。国の観光立国ショーケースに金沢市、釧路市と共に選ばれていることも追い風です。計画策定の過程で市民の意見をとれだけ取り入れていかせるのかは、どこの自治体でもその重要性は認識していながらなかなか具現ができない課題です。
長崎市では市民の「つぶやき」をビジュアル化「形に」していきました。座談会で出る、または吸い上げる「つぶやき」を専門家が次の会議までにビジュアル化していき参加者で共有していくものです。専門家は形にする専門家、建築の専門家、雑誌の専門家、デザインの専門家などなど専門家への費用は5000円/1日で、ありほぼ無償のボランティアに近い形態でした。
また、参加する市民も20代から40代と参加意欲の高い方々でした。意見は出てもそのままということが多い中でこれはとても参考になりました。そのほかまちなかで開業する希望者には一八銀行による「元気な長崎」応援プロジェクトローンを創り、無担保無保証による1000万円までの貸し付けを行い、まちなかの起業を支援しています。長崎新幹線、20万トンクラスの船舶の入港と大型船2隻の同時係留など大型のプロジェクトとまちなかの魅力磨くことの連携が長崎市をさらに魅力的にしていくことを期待しています。
まち歩きでは、市街地の道路の狭隘さ、建物の老朽化が目立つ繁華街では、地震や火災への備えが喫緊と感じました。